気分障害

うつ病

病気の特徴は?

「うつ病」は10%弱の有病率、一般科受診者の5~10%が罹患者と推定される発現頻度の高い精神障害の1つです。
うつ病は複数の症状が同時に現れる症候群であり、精神面では、憂うつや不安など感情、集中力や記憶力の低下などの思考、興味や喜びの喪失など意欲の変化が目立ちます。
不眠と食欲不振はうつ病の2大身体症状ですが、他にも嘔気、便秘、疼痛、など多彩な身体症状が現れます。(うつ病の症状
うつ病者の20~40%は自殺願望を持ち重症化するため入院治療が必要です。
うつ病に関する最近の動向として、患者数増加、軽症化、遷延化、身体化、頻発化、が報告されています。(うつ病に関する最近の動向

病気の原因は?

セロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の機能性欠乏(モノアミン仮説)が発病に関与する、など病因の解明が進んでいます。
また、過労、不眠、喪失体験など生活環境変化が発病の引き鉄(誘因)として働くことが判明しています。

診断に必要な検査は?

うつ病の生物学的病因として、神経内分泌、神経免疫、自律神経など多様な脳内機能変調が想定されています。
疾患特異的な病態を鋭敏に反映し高い特異度と感度を以って確定診断を助ける検査法は未確立です。
うつ病と躁うつ病、統合失調症の鑑別診断補助として、脳血流量の変化を測定する近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)が我が国においても2009年に認可を受けました。
うつ病者では神経免疫系が亢進することが多いことから、視床下部−下垂体−副腎皮質系の機能亢進を鋭敏に検出出来るデキサメサゾン投与とCRH負荷を組み合わせたDEX/CRH test はうつ病診断の生物学的マーカーとしてだけではなく治療反応性や再発脆弱性のマーカーとしても期待されています。

有効な治療法は?

心身の休養と脳内情報伝達系の是正を担う薬の両者が車の両輪のように働きます。
休養は、単なる休業、療養でなく、「自分に対して厳しすぎる物事の見方や考え方」を「現実的・客観的に問題の解決に取りかかれるように修正していく」実践を取り入れることが大切です。
自分の性格を洞察し、ゆとりある生活を心がける、大切なことから順に処理していく、他人に任せ自分の負担を軽くする、発病状況と類似の状況を避ける、不眠や食欲不振を認めたら再発が疑われるため早期受診を心がける、などの工夫も有効です。
抗うつ薬は脳内神経伝達を強めることで抑うつ気分や意欲の改善をもたらします。
セロトニン再取り込み阻害薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬など副作用の少ない新薬の導入。(うつ病治療薬の比較
認知療法、対人関係療法を始めとする新しい精神療法の導入、光パルス療法や無けいれん電撃療法、高頻度経頭蓋磁器刺激など非薬物身体治療の導入、により主に大学病院や地域の精神科基幹病院において包括的対応が可能となり、うつ病治療の安全性、有効性は近年長足の進歩を遂げています。(うつ病の多角的治療


躁病

病気の特徴は?

「躁病」、「躁うつ病」を併せての有病率は約0.1-3%強と報告され、性差はほとんど認めません。
10代後半から20代前半が発病のピークとされます。
若年発病群は
1.女性が多い
2.遺伝負因が強い特徴を示す
との研究報告があります。

躁病もまた症状の集合であり、精神面では、状況にそぐわない気分の高揚、誇大性と過度の楽観主義、注意散漫やさまざまな思考が同時に頭の中を駆け巡り考えがまとまらなくなる観念奔逸、といった感情、思考、意欲の変化が目立ちます。
身体面では「疲れ知らず、眠気知らず」で延々と話し続ける(談話心迫)、食欲と性欲が高まるなど多彩な症状が現れます。
一般に躁病者は病気の自覚を持てず「躁病期にある現在の自分こそが本来の姿である」と確信するため治療を断固拒否することが多いです。

易怒、攻撃性、暴力が頻発し社会的、職業的な機能が著しく障害される一部の躁病者は早期の入院治療が必要となります。

病気の原因は?

躁病者尿におけるノルアドレナリン代謝物、ド-パミンの測定により脳内神経伝達物質の機能性過剰(モノアミン仮説)が発病に関与する、など病因の解明が進んでいます。
近年では、躁病者脳内では、ホスホリパ-ゼC系およびアデニル酸シクラ-ゼ系における促進および抑制系G蛋白の調節機能が破綻していることが発病に関与するとのインバランス仮説が提唱されています。
うつ病と同じく躁病でもまた、出産、就職、喪失体験など生活環境変化が発病の引き鉄(誘因)として働くことが判明しています。

診断に必要な検査は?

躁病の生物学的病因として、神経内分泌、神経免疫、自律神経など多様な脳内機能変調が想定されています。
疾患特異的な病態を鋭敏に反映し高い特異度と感度を以って確定診断を助ける検査法は未確立です。
PETを用いた脳糖代謝を測定した研究で、躁状態では対照群と比較して、脳梁膝下前頭前野における代謝が高いとする報告があります。

有効な治療法は?

過剰な刺激を避け心身の休養を図ること、脳内情報伝達系の是正を担う薬物を至適量かつ十分期間使用すること、の両者が車の両輪のように働きます。
自殺企図、暴力、行動に影響する妄想、浪費、性的逸脱、薬物乱用、を伴う躁病に対しては、できるだけ早く精神運動興奮から脱し現実検討能力を取り戻してもらう必要があります。
このため抗躁薬(気分安定薬)と呼ばれる一群の向精神薬が治療の主軸となります。
従来から躁病治療に用いられてきた、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、に加え比較的早期に静穏が得られる利点を持つ第二世代抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾ-ル、など)が単独で、また従来型気分安定薬と併用で使用されるようになりました。
気分安定薬で十分な治療効果が得られない、また有害事象のため薬物が使えない難治例には、無けいれん電撃療法の導入が選択肢となります。


双極性障害(躁うつ病)

病気の特徴は?

双極性障害は、異常な高揚気分が持続する躁病相と、これとは逆に異常な気分の落ち込みが持続するうつ病相とが往復する経過を示す精神障害です。
米国精神医学会が発刊する「精神疾患の診断・統計マニュアル」の記述では、双極性障害を、躁病相の軽重、また長短により明らかに1つ以上の躁病エピソ-ドを持つものを双極Ⅰ型、少なくとも1つ以上の軽躁病エピソ-ドを持つものを双極Ⅱ型と区分しています。
有病率、性差、発症年齢は、Ⅰ型では、約1%、性差なし、10代後半から20代前半、Ⅱ型では、0.6-5.5%、やや女性に多い、単極性うつ病よりは早期に発病する、との疫学研究報告があります。
双極性障害の長期転帰は一般的に不良とされます。
10-20%は慢性の経過をとり、完全寛解率は4割弱に過ぎず約3割の群が就労や自立が困難など社会的機能に障害を持つとされます。

病気の原因は?

双極性障害の病因としては、主にモノアミンに焦点を当てた脳内神経伝達物質の伝達異常に主因を求める仮説と、ミトコンドリアのカルシウム取り込み障害やグルタミン酸受容体機能変化など神経保護作用の破綻に主因を求める仮説とが並存しています。

診断に必要な検査は?

双極性障害の生物学的病因として、モノアミン、前頭-線条-視床経路,細胞内情報伝達系の異常などが想定されています。
これら疾患特異的な病態を鋭敏に反映し高い特異度と感度を以って確定診断を助ける検査法は未確立です。
病像に相同性を持つものの予後確保の視点から特に推奨される薬物選択が異なる双極性うつ病と単極性うつ病の鑑別に近赤外線光を利用した頭蓋内のヘモグロビン濃度変化を非侵襲的に測定する近赤外線スペクトロスコピ-(NIRS)の有用性が判明しています。

NIRSによる前頭葉賦活反応性において、単極性うつ病では健常者と比較して酸素化ヘモグロビン濃度の増加が小さく、双極性障害では健常者と同程度の酸素化ヘモグロビン濃度の増加を認めるものの反応に遅延ありと報告されています。

有効な治療法は?

双極性障害者は、未治療あるいは治療からの脱落により記憶低下などの認知障害、作業能力の低下、ストレス不耐性などが重畳する人格水準の低下を来たすことが稀ならずあります。
病気の理解、社会福祉資源の利用を可能とするためにさまざまなツ-ルを用いた情報提供、初期徴候の早期発見を目的とするセルフモニンタリング援助,薬物療法の重要性を理解し服薬の自己管理を可能にすること、を目的とした多面的かつ包括的な介入が必要です。

双極性障害の治療薬である気分安定薬は
1.うつ病の諸症状を改善させる
2.うつ病再発を予防する
3.躁病の諸症状を改善させる
4.躁病再発を予防する
の4つの条件を同時に満たすことが望まれます。

現在、双極性障害治療に使用される気分安定薬としては、リチウム、抗てんかん薬(バルプロ酸、ラモトリギン、カルバマゼピン)、第二世代抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、など)、甲状腺ホルモン、などがあります。
残念ながら単剤で上記の4条件を全て満たす薬剤は存在せず病期(うつ病期、躁病期、躁うつ混合状態、寛解期)により気分安定薬、また抗うつ薬を使い分けているのが実状です。
臨床研究によって得られた実践的証拠に基づいた薬物治療指針、すなわち、どの薬をどの順番で投薬すべきか?
投与量、投与法、治療反応性評価の方法、投薬期間はどのように設定すべきか?を提示したガイドラインが1990年代から作成されるようになり臨床現場での利用が進んでいます。


クリニック概要

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おおた心療内科醫院

診療科目 心療内科・精神科・老年精神科

住所   〒238-0007 横須賀市若松町1-1 野上屋ビル5F

アクセス ◎京急本線 横須賀中央駅 徒歩2分 ◎京急バス6番乗場正面

電話番号 046-823-3700

FAX 046-823-3800

診療時間
8:30~12:30
14:30~18:30

休診日:祝日・日曜日

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