生理的障害


生理的障害

非器質性不眠症(精神生理性不眠症)

病気の特徴は?

個別の症状では入眠困難が最多です。
次いで、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害を訴えることが多いですが現実には複数の症状が重畳して発現することがほとんどです。
不眠とともに昼間の過剰な眠気、集中力や作業効率低下など生活の質が低下し主観的苦悩を増加させます。
我が国における不眠症の有病率は成人の約20%強に及びます。
20~30代に初発し最頻する年代は40~50代、性差では女性に多いことが報告されています。

病気の原因は?

身体化された緊張と睡眠を妨げる学習された連想により不眠が現れます。
実際に診察室での面談において「不眠だけにとらわれて頭がいっぱいである(不眠への過度の不安、緊張)」、「良眠を妨げる学習された連想(寝室では頭が冴えて眠れないがリビングル-ムでテレビを視聴しているとかえってよく眠れる)」2つの特徴が明らかとなります。

診断に必要な検査は?

厳密に診断を確定するためには睡眠ポリグラフを実施し以下の3項目を満たすことが必要です。
1. 睡眠潜時の延長
2. 睡眠効率の減少
3. 睡眠回数および睡眠時間の増加

有効な治療法は?

基礎に誤った睡眠習慣や不眠への過剰な恐怖がある場合は、正しい情報提供と環境調整

1. 入床前のカフェイン、喫煙を避ける
2. 時間単位の昼寝をしない
3. 早朝の日光暴露、夜間の過剰な光刺激の回避、睡眠覚醒のペースメーカーとして働く定時の食事摂取と規則的な運動習慣の獲得、など

により自己治癒力を高めていきます。
早期に不眠を改善したい場合、また睡眠衛生の是正のみで効果が上がらない場合は、不眠の型(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠感の欠如)と持続時間(一過性(数日)、短期(数週)、長期(月単位))を勘案し睡眠薬を併用する場合があります。
非ベンゾジアゼピン系をはじめ、健忘、ふらつき、など従来の睡眠薬で問題とされた副作用が少なく、より安全性が高い睡眠薬が最近開発され臨床の場で用いられています。


非器質性睡眠・覚醒スケジュール障害

病気の特徴は?

主に体内時計の同調機能の破綻により「朝、起きたい時間に目が醒めない」「昼夜逆転してしまう」「昼間の思いがけない時間に眠くなり仕事が手につかない」「早朝,まだ暗いうちに目が覚めてしまう」「宵のうち、6~7時に眠くて起きていられない」「夜勤や交代勤務のあと体は疲れているのに眠れない」といった不眠や過眠が生じるものです。

病気の原因は?

人の体は体内時計と呼ばれる調節機構により、睡眠、自律神経系、免疫、代謝の日内変動を発現します。
体内時計は本来25時間で一巡する性格を持ちます。
そのままでは1日24時間の昼夜のリズムと1日毎に1時間のずれが生じてしまうため、光、食事、運動など様々な同調因子の助けを借り日々ずれを修正し生活リズムの恒常性を維持しています。
体内時計のリズムが乱れたとき(睡眠相後退、睡眠相前進、不規則睡眠・覚醒パターン、など)、時差や交代勤務など社会環境や個人の都合で生活リズムが長期にわたり乱れたとき、結果として睡眠障害が生じます。

診断に必要な検査は?

先ず、問診で下記のチェックポイントを明らかにします。

  1. いつ頃から、どのように眠れないのか?それは持続的か、日によって眠れたり眠れなかったりするのか?
  2. 眠れなくなる前は何時に眠って何時に起きる生活習慣であったのか?
  3. 現在困っているのはベッドに入ってから寝付くまでに時間がかかるからなのか?
  4. 眠ってから途中で目が醒めて再び寝付くのに困るのか?
  5. 朝早く目覚めてしまうのか?
  6. 熟眠感がないのか?
  7. 昼間に眠気が出て困ることがないか?
  8. 眠れなくなるきっかけとなる出来事があったか?あれば現在も持続しているのか?
  9. これまでに良眠を得ようとしてどのような試みを行ってきたか?試みは効いたか、効かなかったか?逆に悪くなってしまったのか?
  10. これまでに睡眠薬の処方はあったか?その薬は効いたか?薬の使用に過度の不安を抱いていないか?
  11. 寝酒の習慣はあるか?常用薬物にはどのようなものがあるか?
  12. 良眠を妨げる環境の変化はないか?寝室や寝具などの睡眠環境は適切か?

次に、睡眠習慣と生活リズムの把握を目的に、日々の起床時間と就床時間を記録する睡眠日誌を記録してもらいます。

有効な治療法は?

昼に覚醒し夜に眠るリズムを再獲得する目的で、高照度光照射とメラトニンおよびメラトニン受容体作動薬投与が行われます。
2.500~10,000ルクスの高照度光を早朝に1分間に数秒以上、約1時間程度見つめることで入眠時間を早めます。
また、夜間の光照射は入眠時間を遅らせる効果があります。
メラトニンおよびメラトニン受容体作動薬は光照射と反対に、早朝の投与により入眠時間を遅らせ、夕から夜の時間帯に投与することで入眠時間を早める効果が期待できます。


クリニック概要

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おおた心療内科醫院

院長
太田共夫(日本精神神経学会専門医・指導医/
日本老年医学会専門医・指導医)
診療科目
心療内科・精神科・老年精神科
住所
〒238-0007 横須賀市若松町1-1 野上屋ビル5F
アクセス
◎京急本線 横須賀中央駅 徒歩2分 ◎京急バス6番乗場正面
電話番号
046-823-3700
FAX
046-823-3800
診療時間
8:30~12:30
14:30~18:30

休診日:祝日・日曜日